西尾 知子/彫刻家・安田 侃、作品の観察と分析
パブリックアートにおける安田作品の好適性を考察する
概要
本研究は、北海道出身でイタリアにて制作活動を続ける安田 侃(1945年〜)の彫刻作品、中でも日本国内にあるパブリックアートを取り上げ、設置場所の観察と過去から現代に至るまでの作品の形態や評価の変遷を調査し、パブリックアートにおける安田作品の好適性について考察する。
1章では、安田侃の作品について、鑑賞者の感想、作品の形状と材質、国内の設置状況について調査結果をまとめ、分析する。国内の設置状況一覧表、観察記録、主な作品の形状の分類表が調査結果の資料となる。
2章では、現在の作風にいたるまでの変遷を調査し、その分岐点となったと想定される北海道美唄市にあるモニュメント《炭山の碑》の制作経緯、炭鉱の歴史と現在に続く作風の原点を確認する。
3章では、パブリックアートにおける安田作品の好適性を点検する。
彫刻の制作だけでなく、地域コミュニティとの連携や歴史を繋ぐことにも重きを置く安田の活動と作品鑑賞を通じた気付き、パブリックアートとしての存在価値について、自身の考えをまとめた。