芸術文化学科 芸術研究コース

歴史や理論からアートを知的に探究する、
真摯な研究者、優れた鑑賞者を育てる。

展覧会やイベントなど、アートはますます身近になっています。またテレビや書籍、WebサイトやSNSなどでアートの情報が手軽に、大量に得られるようになっています。その反面、人気のアート作品の魅力が分からなかったり、専門家の評価に従うだけで自分なりの見方ができていないと感じることもあります。

アートの楽しみは、そうした状態から一歩前へ出て自分の視点で作品を捉え、発見を引き出し、それを人に伝えて共有することで、より広く、深いものになっていきます。

芸術研究コースは、見て、自由に感じて楽しむアートを、文化の所産として知的に理解し探究する対象として捉えます。アートについて調べ、疑問をもって主体的に考え、その成果を他者が理解できるよう客観的に表すための視点と方法を、体系的に学ぶコースです。

コースのカリキュラムは、造形を中心に芸術文化を研究するための基本的な知識と能力を養う目的で、通信授業とメディア授業によって構成されています。

「芸術研究学」では造形に対する私たちの認識の成り立ちを、言語表現から社会制度までを視野に入れて学びます。

「芸術研究リサーチ」「芸術研究コンセプション」「芸術研究ライティング」は、研究の方法論を学ぶ科目です。造形に関する情報の探索と分析の方法、調査・観察で得た気づきや情報を整理して問題発見から仮説・推論を組み立てていくまでの思考トレーニング、造形について語り他者に伝える際の課題や手法を段階的に学びます。

「芸術研究特殊講義」は特定テーマによるゼミナール形式の科目です。設定された課題について各受講者の持つ知見を共有しながら、造形に対する幅広く柔軟な見方を養います。

「卒業研究」では、自分で立てたテーマに基づいて、芸術文化に関する研究に取り組みます。

卒業研究論文をご紹介。

2024年度卒業研究論文

映画『アラバマ物語』の主人公描写における対の[弁護士/父親]描写とその二重性 ー映像表現に見るフィンチの変化とmockingbirdの生死ー

「本稿では、米製作映画『アラバマ物語』(To Kill a Mockingbird, 1962)における主人公描写を映像表現から分析する。ハーパー・リー(Nelle Harper Lee, 1926 -2016)の『To Kill a Mockingbird 』(1960)を映像化した本作にて、主人公がどのように描写されているのかを映像分析から詳らかにすることが本稿の目的である。まず、『アラバマ物語』の全体の構成と劇中での三幕構成を確認し、幕毎の主人公の基本的な描写のされ方について概観する。次に、全体を通した展開および幕毎の描写の差異に着目し、そこから見えてくる主人公描写についてプロット毎に検討する。特に、主人公は三幕構成に従って変化しながら描かれているという映像作品に特徴的な点に着目し、主人公の劇中での描かれ方とその変化について分析を行う。そして、本作での主人公描写にはプロット毎に差異があり、二重性をもって描写されているという点を考察する。最終的に『アラバマ物語』の主人公は、弁護士描写と父親描写との二重性をもって描かれているという結論を提示する。

新井 雛

2024年度卒業

2024年度卒業研究論文

ストリート・スナップにおけるソール・ライターの画面構成力 ー被写体・構成要素・撮影スタイルの分析からー

ソール・ライターは当時(1950年代~)モノクロ写真が主流だった時代にニューヨークのストリート、主に自宅周辺をカラー写真で撮り続けた。その色彩感覚が評価され今日では「カラー写真のパイオニア」と言われる。本論文では、その色彩も含めた「画面構成力」の高さを考察する事によってライターの写真には写真集や写真展における写真群の評価ではなく一枚一枚それぞれに内在する強さがありライターの写真の魅力が一過性のものではない事を明らかにしていく。
具体的には、写真集『Early Color』、図録『Saul Leiter(2012年)』の2 冊から93枚を研究対象とし被写体・構成要素・撮影スタイルを分析、さらにそれらを踏まえ93枚の中から特に特徴が表れ、ライターらしい写真表現がされていると思われる12枚を選び再分析する事により「画面構成力」を引き出した。
その結果、ライターは見たままをストレートに写すのではなくカメラという媒体の特性を活かしながら独自な視点と技術を通して画面を構成し、人間の目で見るのとは違う世界を撮影している事がわかった。そしてその画面構成力は、写真独自の遠近感、静と動、時間経過、異なる世界の混在、遮断された空間、不可思議性などを生み出し、それらが「強度」となって鑑賞者は一枚一枚に想像力を掻き立てられ、惹きつけられ続けるのではないかと結論づけた。

石田智恵子

2024年度卒業

芸術研究コースの学習領域

芸術研究コース学習プロセス

芸術研究コースの履修モデル

1年次

文化総合科目
文化総合科目から自由に選択 … 15単位
造形総合科目
造形総合科目から自由に選択 … 10単位
学科別専門科目
芸術研究学I … 2単位
芸術研究リサーチ … 2単位
芸術研究特殊講義I … 1単位

2年次

文化総合科目
文化総合科目から自由に選択 … 13単位
造形総合科目
造形総合科目から自由に選択 … 14単位
学科別専門科目
芸術研究学II … 2単位
芸術研究コンセプション … 2単位
芸術研究特殊講義II … 1単位

3年次

文化総合科目
文化総合科目から自由に選択 … 14単位
造形総合科目
造形総合科目から自由に選択 … 8単位
学科別専門科目
芸術研究学III … 2単位
芸術研究ライティング … 2単位
芸術研究特殊講義III … 1単位
卒業研究I … 2単位
ミュゼオロジーI … 1単位・1単位

4年次

文化総合科目
文化総合科目から自由に選択 … 12単位
造形総合科目
造形総合科目から自由に選択 … 8単位
学科別専門科目
芸術研究学IV … 2単位
芸術研究特殊講義IV … 1単位
卒業研究II … 2単位
卒業研究III … 2単位
ミュゼオロジーII … 4単位

  • は必修科目、は選択必修科目
  • 上記のほかに、文化総合科目(自由選択)を卒業までに40単位修得する。

芸術研究コースのスクーリング。
教員や仲間との交流がよい刺激に。

ミュゼオロジーl

生涯学習概論

博物館実習

芸術研究コースの卒業までの学費例をシミュレーション。

入学時には選考料・入学金、卒業までには授業料のほか、スクーリングやメディア授業の受講料等が必要です。スクーリングまたはメディア授業は卒業までに30単位の修得が必要になるため、年間平均で7~8単位のスクーリングまたはメディア授業を受講することになります。最短で卒業した場合、学費の概算は下表のとおりです。

1年次入学の場合

年次 選考料・入学金 授業料 スクーリング受講料
メディア授業受講料
合計
1年次 25,000円 + 30,000円 330,000円 15,000円 × 3単位
12,000円 × 7単位
514,000円
2年次 330,000円 15,000円 × 6単位
12,000円 × 3単位
456,000円
3年次 330,000円 15,000円 × 1単位
12,000円 × 5単位
405,000円
4年次 330,000円 12,000円 × 5単位 390,000円
1,765,000円

2年次編入学の場合

年次 選考料・入学金 授業料 スクーリング受講料
メディア授業受講料
合計
2年次 25,000円 + 30,000円 330,000円 12,000円 × 6単位 457,000円
3年次 330,000円 15,000円 × 1単位
12,000円 × 5単位
405,000円
4年次 330,000円 12,000円 × 5単位 390,000円
1,252,000円

3年次編入学の場合

年次 選考料・入学金 授業料 スクーリング受講料
メディア授業受講料
合計
3年次 25,000円 + 30,000円 330,000円 15,000円 × 1単位
12,000円 × 8単位
496,000円
4年次 330,000円 12,000円 × 8単位 426,000円
922,000円
  • 2年次編入学・3年次編入学の例は、入学時に既修得単位をスクーリングによる単位として認定された場合です。
  • 受講する科目によっては別途教材費がかかるものもあります。
  • 不合格によりスクーリング再受講となった場合、新たに同一の受講料・申込みが必要です。
  • 参考図書等の購入代金・材料費・課題の郵送料等は含まれません。