キムリカ研
2017年度卒業
有史以前の洞窟画から数万年にわたる長い絵画の歴史の中で、絵画表現の素材も手段もさまざまに変化してきました。今日では、600年近い歴史を誇る油彩画はもとより、アクリル絵具や他の新しい素材も特別なものではなくなっています。また直接的に描くだけではなく、版を使った表現やそれらを複合的に使った表現、さらにはオブジェや装置を使ったインスタレーション(仮設展示)など、その手法は多様化し、これまでのカテゴライズでは収まりきらなくなっているのが現状です。
このような現代美術の状況の中で、絵画表現コースではそれぞれが適した表現を見出せるように科目を設置しています。初めて絵画を学ぶ人には、造形の本質を知り基礎力を養うための科目や、道具や材料について知るための科目を設けています。そして、油彩画はもとより、古典から現代までのさまざまな素材や表現手段を選択的に学ぶことによって、幅広い知識と経験を得ることができます。
絵画表現コースの必修科目では、絵画の表現に必要な知識を身につけていきます。対象の見方や捉え方、明暗と色彩、構図や構成、絵画空間の表現など、造形に必要なさまざまな要素に焦点を当てて学習します。また、実技科目だけでは不足しがちな造形の思考を学ぶ科目も設置しており、それぞれが描くテーマの発見につなげていきます。
これらはコースの主柱となる科目ですが、選択必修科目と造形総合科目には、表現方法ごとに適した素材や技術、媒体と手段を学ぶことができる科目を設置しています。たとえば、「版表現」では版画の版種ごとの技術、「絵画研究」ではテンペラやフレスコなど古典技術、油彩画の古典技法、そして「複合的表現」では現代美術に触れるなど、さまざまな技術や技法が習得できます。これらから自由に選択し、それぞれが求める表現に結び付けていきます。