宮尾有希子
2017年度卒業
明治時代の西洋文化取り入れとともに西洋画の対語として生まれ用いられるようになった「日本画」は、東洋画の伝統を受け継ぎながら日本の風土に根ざした独自の表現法を築き、今日さらに現代絵画が示す幅の広さと可能性を踏まえ、日本絵画の創造性を高めています。
日本画の特徴は描画材としての膠(にかわ)、岩絵具、箔、泥、墨や支持体としての和紙、絹、板、漆喰などが上げられます。それらの用具用材を生かした線描やたらし込みといった伝統的な技法は素材や材料と密接に結び付き、現在では新しい用具用材も生まれつつ、表現の可能性を育んでいます。
日本画表現コースでは、日本画領域を学ぶために用具用材を扱い使いこなすことが基本とし、それらを使って絵画として描く力を養っていきます。
カリキュラムは、まず日本画の用具用材を揃え扱うことから出発し、日本画を描く上で必要なさまざまな技法を習得したのち、自分なりの描きたい手法を編み出す科目へと、基礎から応用へ階段式に学習を進めていきます。
入門として位置付けられている「日本画基礎Ⅰ」は、日本画関連科目をスムーズに進めるための基本となる大切な科目です。そこから発展して、日本画を描くための制作工程研究、絵巻物を利用した現状模写、素材研究としての絹や麻に描く、箔を使ってまた個性の可能性を研究するなど個々がオリジナルな世界観へと繋げられる科目が用意されています。日本画を学ぶ上では描く学習だけでなく、日本の文化を考えることも重要です。必修科目の他にも、日本画に関する科目として「日本画材料学」のように教養面も含めた学習をすることを推奨します。
学生の自主的な学習はもちろん、その人なりの個性を伸ばすことに重点を置いた指導を行います。