■参考作例
■木炭による描画例
デスケル(デッサンスケール):
木炭紙サイズの縮小枠に分割線が引いてある覗き窓。描き始めの段階で構図を決める目安として使う。
フィクサチーフ:
定着力の弱い木炭画を保存するために使う定着液。木炭専用の物を用意する。スプレー式と液体式がある。液体のものは専用の吹き付けノズルが必要
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ガーゼ:
描画用具として使用する。適度な大きさのガーゼは使い勝手が良い
。
食パン:
消し具として、また描画用具として使用する。一日の使用で2〜3枚は用意するとよい。
油分の多いものは紙に浸透するので安価なものでよい
。
芯抜き:
枝材の木炭には中心に芯があり、その部分を抜くのに使用する。
木炭:
硬軟や太さの違い(太軸、中軸)、濃淡など何種類か用意するとよい。柳材のものは種類も豊富で使い易い木炭である
。
クリップ:
カルトンと木炭紙を留めるのに使用する。大きなサイズのものは使い易い。
木炭紙:
下敷き用を含めると、木炭紙は4、5枚用意するとよい。
カルトン:
画板として使用する。2枚綴りの紙を挟めるタイプのものは保管にも移動にも便利である。木炭紙の大判サイズを使うにはベニヤ板などを用意すると良い。
■用具解説:
●線を引く:
木炭で線を引く。紙の地をいかす。
●指を使う:
指で押さえる。手の平で押さえる。
●布:
ガーゼで押さえる。
●食パン:
食パンで押さえる。食パンで消す。
カッター:
木炭の先端を削るのに使用する。小型のものが使い易い。
計り棒:
自転車のスポーク。細くて曲がらないものなら何でも良い。水平垂直、長さのバランスなど手元で測るのに使う。
擦筆:
紙製のものと綿製のものがある。仕上げの段階で輪郭の木炭を押さえたり、柔らかい調子を作るのに使う。
練り消しゴム:
主に仕上げの段階などで細部を消すのに使う。
材木の種類
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特 徴
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軸
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桑(クワ) |
濃く柔らかい。腰のあるしっかりとして描き心地。濃黒色が特徴。 |
太、中 |
柳(ヤナギ) |
濃く柔らかい。肌目が細かく使い易い。軸の太さの違いにより描き味ちがう。 |
太、中、細 |
栃の木(トチ) |
柔らかい。最も肌目が細かい。軽い描き味。 |
中 |
榛の木(ハン) |
柔らかく、やや淡い。軽い描き味。断面が楕円の形状。 |
中 |
五加(ウコギ) |
柔らかく、やや淡い。暖味のある黒の発色。角炭。 |
角軸 |
榎(エノキ) |
淡く、硬い。太軸の繊維の粗い木炭。暖色系の発色。 |
太 |
椋(ムク) |
やや淡く、やや硬い。しっかりとした手応えのある描き味。 |
中太 |
朴(ホオ) |
淡く硬い。薄く淡い発色が特徴。暖色系の黒。 |
中 |
樺(カバ) |
淡く硬い。最も硬く、最も淡い。暖かみのある黒。 |
中 |
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木炭デッサン |
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■描画材<木炭> |
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描画用木炭とは、主に枝材を原料とする。密封状態で釜に入れ蒸し焼きにしたもので、約600℃で焼成して製造される。現在では材料が厳選され、緻密な温度管理のもと描画用として品質の良いものが製品化されている。
メディウムを一切使用していないため、鉛筆、コンテ、クレヨンなどと比べると定着力が弱いという性質を持つ。そのため何度でも描き直しが効くという利点があり、油絵や壁画など下絵を検討するのに適している。西洋ではダ・ヴィンチやミケランジェロなど習作や下絵として優れた作品があるのは周知のとおりである。(※1)
また専用の木炭紙を支持体にすることで、他の描画材では得られない自然で美しい炭色の調子(諧調、トーン)を引きだすことが出来る。
木炭デッサンは木炭をのせて調子を作る。描くことと押さえることの繰り返しであるが、この作業を通じて培うものがある。 |
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※1:
ダ・ヴィンチのカルトン(下絵)に「聖アンナと聖母子」がある。ロンドンのナショナルギャラリーに収蔵されている。描画材は木炭と白チョークを使用している。人物の巧みな動勢と明暗法による量感表現の豊かなデッサンである。木炭の調子(トーン)の豊かさを感じるデッサンである。
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●木炭の種類 |
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描画用木炭は木材の種類により色の濃さや描き味に違いがある。柔らかく発色の濃いヤナギ材が種類も豊富で最も一般的である。 |
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参考作例として通信教育課程の学生及び卒業生の方々の作品写真を使わせていただきました。
●木炭紙について
●木炭紙の厚さと寸法:
何度でも描き直しが効くよう目つぶれや毛羽立ちがおきにくい堅牢性と、独自の深い簀目の凹凸をもつ中性紙である。木炭のつきや伸び、また微妙な諧調の変化や美しい色合いを引き出すのに最も適している。
MBM木炭紙(仏製最高級木炭紙で最も一般的。
■デッサンの進め方(プロセス・素材に慣れる)
木炭紙は独自のスノコ目がある方が表である。また紙の端にMBMの透かしがあるので、文字が正しく読める方が表である。
●木炭紙の表と裏:
木炭は中心部に芯を持つ。芯の部分は柔らかく周辺部と性質が異なる。木炭はこの芯の部分を取り除いて使う。断面を見て芯を持たないものはそのまま使う。
●芯抜き:
デッサンの進め方は描画材や支持体が違っても基本的に同じである。ここでは木炭を描画材として選択した場合の注意点について説明する。