絵画を描く際に必要な基底面。地塗り層や絵具層を上に乗せ、下から支える物理構造。

支持体には、大きく分けて軟質と硬質があります。
ここでは、支持体の種類と、その下地作りの主な例を紹介しています。

下地作りの例









[01] 生麻布
[02] 木枠の表裏
[03] 線を引く
[04] 仮止め その1
[05] 仮止め その2
[06] 糸目の調整







[07] 目止め
[08] 本張り
[09] 処理
[10] 地塗り
[11] 比較
[12] 完成



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手作りカンバス

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[01] 生麻布

生麻布は画材店もしくは布地店などでロールで購入し、任意の大きさにハサミで裁断して使用します。布地を入手する際は、平織りで、縦糸と横糸の長さが同じものを選ぶと良いでしょう。




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[02] 木枠の表裏

木枠のおもて面(生麻布を張る面)には、生麻布の裏面が直接木枠面に触れないように傾斜が加工されています。木枠のおもて面各々の角は、木枠の内側に向かってなだらかな傾斜になっています。この面に生麻布の裏面をのせます。





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[03] 線を引く

生麻布を描きたい絵の実寸(木枠の大きさ)より10cm程度の余裕を持たせた寸法で、ロールから切り取ります。次に木枠に張るときのガイドとなる線を引きます。





生麻布のおもて面に木枠を置き、色鉛筆で木枠の寸法に3点のアタリをつけます。


木枠をはずし色鉛筆で糸目に添ってアタリを結ぶフリ−ハンドの線を引きます。




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[04] 仮止め その1

生麻布に片面だけ引いた線を木枠にあわせます。手で引っ張る程度で生麻布を押さえ、金槌でタックス(錆び止めをした釘)を1〜6の番号順に半分だけ打ち込んで止めます。





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[05] 仮止め その2

片側を仮止めしたら、反対側も同じように止めていきます。この仮止めは、次の行程で生麻布に膠水を塗って下地作りをする際、糸目を固定するために行うものです。カンバス張り器等を使って強く固定してしまうと膠が乾燥した時に木枠が壊れてしまうことがあるので、手で張るようにします。





残りの片側に木枠に沿ってフリーハンドで線を引きます。線を引いたら同じ手順で6点(仮止めその1参照)にタックスを半分打ち込みます。


次に各辺の中心に打ったタックスから角に向かって3〜4cm間隔で4辺すべてにタックスを半分打ち込みます。角に余った布は折り込みません。




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[06] 糸目の調整

仮止めを終えたら、生麻布の表面にでている細毛、毛玉を整えます。余分な毛は手で取り、毛玉は千枚通しを使って布の裏面に押し込んでいきましょう。また、糸目が歪まないよう平均に整えるようにしましょう。





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[07] 目止め

油絵具に含まれる油分や樹脂分は、布に直接浸透すると酸化して布地を傷めます。そのため、膠水を塗って保護をする必要があります。また、膠は布地の裏側に絵具がにじまないための目止めの役割もします。こうして目止めされた布をカンバスといいます。





膠水は粘度があって伸びにくいので、ムラが出ないようゆっくり塗っていきます。ハケをかえして強く塗ると泡立つので、注意しましょう。塗り終わったら日陰で乾燥させます。


膠水は、麻布が少し裏までしみる程度が好ましいです。あまり厚く塗り過ぎると、乾燥後に亀裂が入ることがあります。表を塗ったら側面も塗ります。




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[08] 本張り

膠が完全に乾燥したらカンバスを木枠から取り外し、カンバス張り器を使って再度木枠に張り直します。タックスの間隔は仮止めの時より少し広めで止めます。まず図の1の部分にタックスを1本完全に止めます。カンバス張り器で布を引っ張りながら番号順に4まで止め、あとはそれぞれを基点にして対辺交互に皺を伸ばすように、角に向かってタックスを打っていきます。





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[09] 処理

膠が完全に乾燥したらカンバスを木枠から取り外し、カンバス張り器を使って再度木枠に張り直します。タックスの間隔は仮止めの時より少し広めで止めます。まず図の1の部分にタックスを一本止めます。カンバス張り器で布を引っ張りながら番号順に4まで止め、あとはそれぞれを基点にして対辺交互に皺を伸ばすように、角に向かってタックスを打っていきます。





側面の角に余った布の片方を折り込み、もう一方を上からかぶせてタックスで止めます。他の三隅も同じように折り込み止めします。


裏面の四隅は、側面同様に折り込んでタックスを止めます。カンバスの側面を打った時よりも広めの間隔で、裏面の木枠にもタックスを打ち込んでいきます。





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[10] 地塗り

本張りが終了したら、カンバスに地塗りの塗料を塗っていきます。これは絵具の展色性(絵具の定着、発色)を高めるために行います。地塗りの塗料には大きく3種類ありますが、ここでは描画の際に使用する絵具の選択肢が広い<半吸収性タイプ>のエマルジョン塗料の地塗りを紹介します。





エマルジョン塗料は、膠同様カンバスにムラがでないように、丁寧にハケで塗っていきます。


この塗料はハケで塗った場合、表面に小さな穴が出来ます。その穴を埋めるために、塗った塗料が乾く前にブラシを使って軽くすり込んでいきます。(1層目のみ)




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[11] 比較

カンバスにエマルジョン塗料を4〜5層重ねると、表面の凸凹が平滑になり、絵具の展色性が増し、得られる効果も変化します。個人の求めに応じた表現、描画法から、カンバスに用いられる布糸の種類や地の塗料の種類、又は塗料の塗り厚等の様々な兼ね合いによって選択肢の幅を考えることが大切です。




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[12] 完成

平らな場所に日陰干しで乾燥させます。梅雨時をはずした乾燥時期が好ましいです。これで、生麻布の手作りカンバスの完成です。(写真はエマルジョン塗料を4層塗った状態)他の軟質の支持体にはジュート(珈琲豆袋)、綿布、混紡(天然繊維、化学繊維)、紙類(和紙、西洋紙)、カルトン(厚紙)、皮紙(羊皮紙)等があります。