目盛り鉛筆手の動き始点と終点鉛筆の削り方
 小さな文字を書くにも、書道家は腕を大きく使い、指先に伝える。身体の中心から発した動きを使って書いているからこそ表現へとつながるのである。
 簡単と思われるような細かな部分=基礎がちゃんと身に付いているかがポイントになる。姿勢や目の位置、動作など見逃しがちな要素を大切にすることである。
 せっかく描いた図面が、つじつまが合わなくなったり、無駄な修正を繰り返さないようにするには、改めて見つめ直してみることが大切。
 図面上で寸法をとったり、直接定規にコンパスを当てて寸法をとる時、定規の真上(直角方向)から目盛りを読まないと必ず狂う。
 紙に読んだ目盛りを移す時、正確さだけでなく、打つ点の大きさ、強さに注意する。見て解るだけでいいのだからできるだけ薄く描くこと。
 図面では製図板にテープで固定された、比較的に大きな用紙を使う。離れたところでは座ったままで作業せず、立ち上がって描くようにし、必ず目の位置を真上に移動させること。
 左右のどちらの目が自分の利き目なのか?利き目を定規(目盛り)の真上にする方が、より正確に寸法をとることができる。
 腕を大きく動かして長い線を引くので、机と肩・肘とのスペースを十分取るようにする。椅子に座ったままではなく、必要に応じて”立って”描くことも念頭に置くこと。
 机と椅子の関係も大切で、椅子に対して机が高いと腕を大きく動かせなくなる。
 鉛筆は軽く持つこと。定規に対して垂直に当たるようにしないと線をまっすぐに引くことができない。僅かな定規の厚みと鉛筆の芯との関係だが、その角度の違いが原因で、線が曲がり、よれて見える。
 ただし、完全に垂直にすると紙に引っかかり易くなるので、進行方向には約60°位倒して引くことを基本としている。
 長い線をまっすぐに引くことに、意外と無関心な人を多く見かける。
 肘を固定して線を引くように動かしてみると指先が弧を描くように移動する。指先のその先に鉛筆があるわけだから、そのような動きを定規で直線を引く時に当てはめてみれば、それぞれの位置で定規と鉛筆の角度が変化することが解る。
 これでは「定規を使っているのにまっすぐの線が引けない!」状態である。
 この微妙な狂いに初心者は気が付きにくいが、少し製図になれてくると、線の曲がりや揺れが気になってくる。この微妙と思われる狂いが線の交点や細部の描画でつじつまが合わなくなるので、実はかなり重要な問題である。 
 そこで、線を引く時には手首から先「鉛筆と定規との角度」を変えずにまっすぐ線を引くテクニックが必要になる。
 そのためには肘を抜くように肩から大きく動かして引く。例え、短い線でも、腕を大きく使うのがポイントである。
 見えなくても指先から先にある、鉛筆と紙との感触を感じながら引くようにするとよい。
線を引く手の動き
 線の太さや色の濃さにも影響するので、線を引く筆圧やスピードも一定にしなければならない。ばらついたスピードで引いた線は表情がまちまちになり、煩雑な図面になり、美しく描くことができない。
 ただ線を引くだけと思わず、<線は自分の意思を表すもの>としての意識が変化をもたらす。
 線の書き始めや終わりが太くなることが多いので、特に注意が必要になる。どこからどこまで引くのかしっかりイメージしてから引くこと。特に線末は鉛筆や烏口で見えなくなるので、芯の太さや烏口の形状、太さなどから線末位置をイメージすることが必要になる。
 墨入れの時には特に注意が必要で、烏口でも製図ペンでも紙の上に止まったままになれば、そこにインキが溜まって太くなるばかりか、定規と紙の隙間ににじむこともあるので、線の両端をしっかり意識してから、澱まず一定の速度で引くようにする。
 均一の太さで美しい線を引くために、筆記具ごとに使い方に工夫をするとよい。筆圧を緩めて軽く持ち、均一な太さ、濃さを保つようにする。
 線を引く時に減る量を考慮して、芯を長めに削った後、太さが変化しないように芯研器で平べったく研ぐと使いやすい(右写真)。
 回転式の芯研器を使う場合はホルダー同様、指先で回転を加えながら太さを揃えるようにするのがポイントである。
鉛筆の購入法:
 鉛筆を購入する時は画材店でバラ売りで求め、木目をよく見て選別するとよい。
 「柾目」で直線的な木目が張り合わせた2面とも細かく揃った木目のものが一番よく、ナイフやカッターで削る時にもきれいに削れる。「板目」では木の堅さがばらつき、波をうったような削り口になりやすく、削りにくい。
 斜めに削る。また削った面は針(半径)に対して外に向けて、直角に正確にセットする。削り面が半径方向に斜めになっていると、線が太くなりコントロールできない。できるだけ鋭角に削りたいものだが、コンパスの針の長さとの関係もあり、適度な角度に整える。
 回転式の芯研器を使う場合が殆どなので、線を引きながら、指先でホルダーを微妙にぐりぐりと回転させて、太さを揃えながら引く。こまめにシャープナーを使うこと。