■用具解説

水彩絵具:
 透明水彩と不透明水彩があるので確認して購入する。

不透明水彩(グァッシュ):
 
透明水彩と不透明水彩があるので確認して購入する。小、中学校で使うものは主に不透明水彩である。

固形タイプの水彩絵具:
 
パレット付きのものがセットである。ひとつがキャラメルサイズぐらいである。その他にパンケーキタイプがある。

平筆:
 
幅の違い、穂丈の長さや毛の種類による弾力の違いなどさまざまある

パレット:
 
ホーロー製のものが一般的である。日本画用の磁器のものやプラスチック製のものなどある。

筆洗器:
 
用途に応じたものを使いたい。磁器製は重く安定している。折りたたみのビニール製は携行に便利である。バケツは水の取替えの手間が省ける。

丸筆:
 
柔らかく腰のあるセーブル(てんの毛)の筆は使い易い。その他に馬毛やナイロンなどの種類がある。

刷毛:
 
大きな面積を塗る場合やあらかじめ水を含ませる時に使用する。水張りにも使用する。

スポンジ:
 
水を吸収する場合や筆の水分量を調節するなどいろいろな使い方がある。


鉛筆デッサンの用具
下画き用の描画材。鉛筆の項参照。
■水彩による描画例
鉛筆による下描きと水彩<鉛筆淡彩>
水彩絵具(淡彩)
材料と用具描画材
水彩絵具について
 古来より水溶性絵具は卵や膠と共にガム(Gums)が使われた。水彩絵具を遡るとガムを展色材とするガムテンペラとなる。ルネッサンス以前からの作品が現存する。(※1)
 現在使用されている水彩絵具とは近代以降で19世紀のイギリスが発祥地である。展色材はアラビアゴムが使用されている。産業革命により、良質な顔料が工業的に生産されたことやグリセリン(※2)の発見などにより、透明度に優れ、発色がよく手軽に使用できる絵具が開発され現在にいたる。(※3)
※1:
 羊皮紙を支持体としたものでヨーロッパ中世の写本などがある。

※2グリセリン:
 水溶性で粘稠度のある無色透明の液体。水に良く溶けて保湿性がある。水彩絵具と混ぜることで鮮度を保ったまま長期保存が可能となる。
 日本では明治後半から大正期にかけて児童教育はもとより、一般にも大いに普及し水彩画ブームとなる。紙を使うことの親しみ易さと、簡易であることが無理なく溶け込んだ要因であろうか。現在でも多くの人が使用する人気のある画材の一つである。  絵具の他に医薬品や化粧品に用いられる。

※3:
 イギリスの画家であるターナー(1775〜1851)は多くの水彩画を手がけた。この時代に水彩絵具が発展する。
 透明水彩だけでなく有色紙に不透明水彩を使った作品や下描きに鉛筆、チョーク、ペンなどさまざまな描画材が使用されている。
描画材の種類
 水彩絵具には大きく分けると透明水彩と不透明水彩(グァッシュ)がある。用途の違いにより種別されている。単純には顔料の量とメディウムの量の違いである。透明水彩は顔料が少なくメディウムが多い。
褐色<単色>
褐色<2色>
暖色と寒色
竹ペンによる下描きと水彩<ペン淡彩>
褐色<単色>
褐色<2色>
暖色と寒色
コンテによる下描きと水彩<コンテ淡彩>
褐色
褐色と暖色
暖色と寒色
参考作例

ペン:
下画き用の描画材。ペンとインクの項参照。

コンテ:
下画き用の描画材。コンテの項参照

画板(パネル)
画用紙のサイズに合ったパネルを用意する。例えばB2画用紙ならB2のパネルを用意する。画板として販売されている板や、薄手のベニヤ板(厚さ4〜5mm程度)でもよい。

フィクサチーフ:
下描きのデッサンを定着させるのに使用する。ペンの下描きの場合は特に必要ない。

スケッチブック、ブロック:
各種専用の水彩紙によるスケッチブックやブロックがある。ブロックとは紙を重ねて側面を糊で留めたものである。水張りの手間が省ける。上の紙から使用してペーパーナイフで切り取る。
●支持体(水彩紙)について
 デッサン用紙と比べると水彩紙は種類が豊富である。水の吸収度の違いや地色(白さ)による発色の違いがある。また同じ種類の紙でも厚みの違いや紙肌の違いなどさまざまある。水彩(淡彩)の場合は支持体であり、下地としての紙は重要である。また下描きの素描を考えると鉛筆、ペン、コンテなどの相性も必要となる。自分の表現に合う紙を探したい。
※画用紙は水彩や淡彩に適する紙である。安価であり気兼ねなく使える。基礎課程では主に画用紙を使用する。
参考作例として通信教育課程の学生及び卒業生の方々の作品写真を使わせていただきました。
左から、ワットマン290g中目/アルシュ水彩紙356g荒/クラシコファブリアーノ300g荒/ウォーターフォード425g荒目/ワトソン超特厚口/ストラスモアインペリアル300g荒/アルビレオ水彩紙/クレスター水彩紙210g
 西欧ルネッサンスの頃の水彩画の中には、デッサンを下地として褐色系の絵具により彩色を施したものがあり、淡彩画とはこのような水彩絵具による絵を指すことがある。インクや墨、チョークなどの下描きによる淡彩画は、即興性を具えたもの、風景の現場で緻密に描写されたもの(習作)、また完成作の小下絵として描かれたものなどさまざまある。現存する淡彩画の多くは、その目的の如何に関わらず素描としての魅力を感じさせる。
 現在日本でいう淡彩とは、主に水彩絵具により淡い彩色を施したものをいう。水分をたっぷりと含んだ淡い水彩絵具だけの表現や、鉛筆を下地として色数を抑えた淡い着彩画(鉛筆淡彩)などさまざまある。共通するところは紙の下地や鉛筆デッサンの下地を生かして薄く淡く彩色する部分である。
 淡彩画を定義するのは難しい。但し、デッサンと着彩とは共通する部分と異なる部分がある。淡彩画とはデッサン(明暗表現)と着彩画(色彩表現)との間にある領域を表す表現、として捉えられる。
●淡彩画について
●チューブタイプと固形タイプ
 透明水彩、不透明水彩ともにチューブタイプのものが一般的である。チューブタイプのものは保水性を保つため、グリセリンが混入されている。その他に長期保存した場合の防腐剤や品質の安定を保つための補助剤が加えられている。固形タイプのものは絵具を半乾きにしたもの(パンカラー)と圧縮したもの(ケーキカラー)がある。チューブタイプに比べると補助剤の量が少なく、絵具の発色はよい。使い勝手は好みであるが、少ない水で絵具の固さが調整できるチューブタイプは手間がかからないであろうか。

アルシュ水彩紙<荒>

アルシュ水彩紙<細>

アルシュ水彩紙<極細>
発色の違い(上:ガッシュ・下:透明水彩)
 メディウムを通して紙の下地が透けて見える。まさに透明感を感じる描画材である。パレット上での混色も可能であるが、画面上で薄く色を重ねる事により柔らかい含みのある色彩混合が可能である。基本的には白は使用せず、紙の下地を白として生かすよう作画する。
 不透明水彩は顔料が多く、メディウムが少ない。このため下地に対する隠蔽力があり、発色が強い。また粘り気を与えるため増粘材が混入されており、重ね塗りに適す。油絵具のような感触に近いところがある。(※4)
※4:
透明水彩は不透明水彩の3倍ほどアラビアゴムを含む。