■ペンとインクによる描画例
■用具解説:
ガラスペン/先
ペン軸に装飾的なデザインが施されたガラスペンである。先端にインクを溜めるための溝がある。
丸ペン/スプーンペン/Gペン/カリグラフィペン/ガラスペン/その他
葦ペン・竹ペン:
節が大きなものが竹ペンである。葦ペンのほうが柔らかい。先端の厚みや形状に違いがある。用途により自作できる。
羽根ペン:
先端をナイフでカットするだけでは決して描き易いものではない。羽根ペンが実際に使われていた当時はいろいろな工夫がなされていたようである。
カラーインク:
先がスポイドになっているものがある。色数は豊富にある。
黒インク:
筆記用、描画用。
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ペンとインク |
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■描画材 |
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●ペンについて |
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西洋美術史でペンというと羽ペンを指す。ペンの語源はラテン語のpennaであり「羽」を意味する。がちょうや雁、七面鳥など大型の鳥の羽根が重宝されていたとされる。筒状になった羽はストローのようである。先端を斜めにカットして切り込みを入れ使用する。羽ペンの使用は5、6世紀からルネッサンスを経て19世紀までの多くのデッサンにその用例を見出す事が出来る。但し、素材の調達やペン先の加工の手間、耐久性などの問題からか、普及していたにもかかわらず現在ではあまり使用されることは無い。 |
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葦ペン、竹ペンとは管状の茎を持つ植物のペンである。その起源は古代エジプト時代に遡り、インクを使用する時期との関係が考えられる。
原理は羽根ペンと同様で自作も容易である。外見は簡単な作りであるがインクの持ちは比較的良く長い線が引ける。太くて素朴な線、かすれた線など力強く直接的な描感がある。(※1) |
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※ 1:
ゴッホには葦ペンで描かれた素描がある。輪郭線による形態表現と画面全体の動勢が意識された独特な描線の素描である。 |
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鋼鉄製のペン(つけペン)は18〜19世紀のイギリスで試作が重ねられ製品化される。近代以降の筆記用具として最も代表的である。耐久性に優れ安価に手に入ることもあり筆記具として普及し定着する。
先端が鋭いので運筆によっては引っ掛かりがある。その反面金属特有の柔軟性や反発力があり、表情の豊かな線が引ける。ペン先は数百種類にのぼる。今では錆に強いステンレス製のものが一般的であろうか。日本では画家の素描用として、また漫画家が使用する描画材として馴染みがある。 |
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金属ペン(つけペン)による描画:ハッチング
自由な線による描画
丸ペンにインク、KMKケント紙
竹ペンによる描画
金属ペン(つけペン)による描画:点描
■参考作例
金属ペン(つけペン)による描画:点描とハッチング
参考作例として通信教育課程の学生及び卒業生の方々の作品写真を使わせていただきました。
ドローイングペンとスケッチペン/先:
ドローイングペンのドローイングとは製図などの線を引くことを指す。
ボールペン/先:
極太、太字、細字などがある。油性インクのボールペン。
イングランド南東部にあるケント州が発祥地である。描画用紙としては、画用紙と共に一般的で普及している洋紙である。緻密でとても強い表面が特徴である。鉛筆や金属ペンなど硬質な描画材による細密な描写に適している。
KMKケント
ケント紙の中では一般的で多くの用途に適する。良質な木材繊維を原料とするバランスのよいケント紙である。
♯200(180kg/㎡)、♯150(135kg/㎡)
四六判 788mm×1094mm(原紙寸法,各種原紙裁断サイズがある。)
ロール(1350mm×10m
中判 76cm×56cm
大判 104cm×70cm
ケント紙について
MO紙について
越前和紙。戦前、洋紙の輸入が困難な時期に、和紙の原料で国産の水彩紙を作ったのが始まりとされる。ドーサ引きの有無がある。厚みがあり軽くて柔らかい紙質が特徴である。
●支持体について
金属のつけペンを発展させたものが万年筆である。ペン先がステンレスのものが一般的で安価である。描画用に改良されたものをスケッチペンという。
ボールペンとは精巧な金属加工技術により、先端の小さなボールの回転でインクを送る筆記用のペンである。油性インクのものが一般的であるが最近では水性のものや低粘度のインクのボールペンがある。共に筆圧の強弱が線に反映しないよう工夫されている。
古代ローマでは巻貝からとれる染料を筆記用の液体として使用していたが、これをenqueと呼んだ。現在では「筆記用や印刷用、描画用の着色剤(液体)」をインク(インキ)と呼ぶ。
インクを大別すると天然インクと化学インクとなる。天然インクは墨(※2)の成分を基本とする。墨は煤煙を膠で固めたものである。中国が発祥地で日本でも古くから使用される描画材である。
化学インクはブルーブラックインクと呼ばれる。ブルーブラックインクは10世紀頃のヨーロッパで作られたとされる。没食子酸溶液と硫酸鉄の混合物で、酸化することにより黒くなり、耐水性を増す。但し、このインクはペン先の手入れが必要で支持体を腐食させる事もあり現在ではあまり一般的ではない。
●インクについて
金属ペン(つけペン) |
丸ペン
ペン先が筒状で他のペンと比べると径が細い。また同じ丸ペンでもメーカーにより径が違うのでペン軸は専用のものが必要。とても繊細で細かな線が引ける。
スプーン(さじペン)
丸く膨らんで先端に向かって絞り込まれる最も一般的な形をしている。筆圧の強弱を適度に吸収し、滑らかな線が引ける。
Gペン
アルファベットのGの文字が浮きぼりされている。筆圧により先端が動くよう両側に切り込みがある。線の強弱がでる描画用のペンである。
カリグラフィーペン
カリグラフィー用のレタリングのペン。手の動きに合わせた太い帯状の線が引ける。
指差しペン
ユニークな遊び心を感じるデザインのペンである。
ルンドペン
先端が平らに加工されている。太線が引ける。 |
※2
中国製の墨を唐墨、日本製の墨を和墨という。また菜種油の煤から製造されたものを油煙墨(茶色味がある)、松の煤から製造されたものを松煙墨(青味がある)という。 |
黒以外の色インクをカラーインクと呼ぶ。カラーインクの色素は主に合成染料である。合成染料は水溶性で粒子が細かく透明性に優れる。また色数も豊富である。但し紫外線に弱いという欠点がある。これ以外に顔料のものがある。
顔料は色数が少なく不透明であるが耐光性に優れる。展色材は水性と耐水性に分かれる。水性のものはアラビアゴムが使用される。色数も豊富で安定している。混色による滲みなどの効果を得る事ができる。
耐水性のものはシェラックやアクリル樹脂を使用する。低粘度で発色が良く透明感があるシェラックはインクの展色材に適す。アクリル樹脂は一度乾燥すると色は溶けないので重色に適す。
カラーインクを選ぶ場合は染料と顔料の違いがあり、水性と耐水性を注意して選びたい。
カラーインクについて
現在、筆記用や描画用としてあるインクをドローイングインクと呼ぶ。色素はカーボンブラック、ランプブラックが使用されている。展色材にシェラック、膠、アクリル、などが混ぜられ、発色、粘凋度、速乾性、隠蔽力などが調整され、耐水性、耐候性を確保している。描画用、コミック用、製図用など種類も豊富にある。
黒インクについて
その他:スケッチペン、ボールペン