寒冷紗を準備する:
寒冷紗で拭く:
 「寒冷紗」で粗拭きを行う。やさしく動かしながら拭き上げる。力を入れてしまうとせっかく詰めたインクが寒冷紗の繊維で乱されてしまうから、この作業には力の入れ過ぎが禁物である。
 寒冷紗の目は粗く拭き始めは繊維の穴にインクが詰まるので、新聞紙にこすりつけながら進む。
 拭きの目安としては、銅の版面が露出する手前の、図像が微妙ににじんだ状態で止める。
ゴムベラでインクを詰める:
詰める状況:
 インクを版面に置く前に、版面に余分な油脂分や不必要なゴミや汚れ、腐食に使ったグランドや黒ニスがないかどうか表面、裏面共に確認する。
 まず、版面をリグロインで洗浄する。よく練ってねばりが出たインクをゴムベラに取り、版の全面に伸ばす。縦、横、斜めにゴムベラを全面に動かし、版の凹んだ箇所にしっかりと食い込むようにインクを詰める。
 腐食された凹みや直接技法のキズが全くない場所にも、インクを盛る必要がある。版面全体に充分な詰め込みが完了したら、版面に溜まった余分なインクを、ゴムベラで取ってインク台に戻す。
インクを出す:
インクを練る/拡大:
 インクは缶やチューブから練り台(ガラス板)に出して、インクベラを使って良く練らなければならない。
 この時乾燥して皮膜になった塊などを除去しながら、均一に柔らかく粘りがでるまで練る。練ると次第に軟らかくなり艶も増す。
 凹版の場合、版画紙は前日から湿してやわらかくしておく。版の凹みに紙が食い込んでそこに詰められたインクを刷り取るのだから、堅い乾いた紙では上質な刷りは望めない。
 版画紙には水刷毛を使って水分を与え、薄いビニールシートで包んで軽く押しを施す。
紙を湿す:
ビニルでくるむ:
プレートマークの仕上げ:
 製版の段階で作成したプレートマークを、本刷りを行う直前で仕上げの磨きを行う。
 腐食作業によって大きく変化した部分は、ヤスリがけから行い美しく形を整える。スクレーパーで削りながら鞣し、バニッシャーでは機械油をつけて光沢を持つまで磨く。
 版の固定は、加工する辺以外の3辺をガムテープで押さえるとよい。
手のひら大の紙:
拭き終わった版面:
 適宜裁断した電話帳やロール紙・手・人絹・キュプラ等で仕上げ拭きを行う。余分なインクを丁寧に拭き上げていく。インクに配合している油分が油膜となり、ハーフトーンとして現れる。これを拭き上げにより調整する。やさしくなでるように拭きあげると油膜の多いところは重く少ないところは軽く感じる。
 油膜の調整が完了したら版を斜視し、糸クズやインクカスを指や竹串で除去する。最後に汚れのないウエスにリグロインを適量含ませ、プレートマークに残るインクと油膜を拭きあげる。
キュプラ(人絹)の拭き上げ:
 紙で油膜を調整してもよいが、キュプラと併用するとさらに柔らかい拭きあげが可能になる。
見当をつくる:
版画紙を置く:
 プレス機に圧力を適正に与える。見当に合わせて拭き上げた版を設置し、前日から湿した版画紙を見当に合わせて置く。
 その上に版画紙よりやや大きめの薄葉紙をかぶせて、フェルトを皺が入らないように確認しながらかぶせる。
 ここまで問題なく進んだら、プレス機のハンドルを進行方向に回転して印刷する。刷り上がりはフェルト、薄葉紙、版画紙の順番でめくり、刷り上がった作品の乾燥を行う。
 乾燥の方法には、板張りする方法と厚紙で挟み込んで押しをする方法がある。
薄葉紙を置く:
銅版画のための見当:
 銅版画は、ベットプレートの上に版、版画紙の順にのせる。版画紙をのせる時に版との位置関係を確認できないから、写真にあるように透明なフィルムに版と版画紙の位置を示す見当を予め作っておく。
見当合わせ:
プレス機のハンドルを回しプレスする:
フェルトをかぶせる
刷り上がり!
刷り上がり後の乾燥: