■用具解説
アクリル絵具:
 
スタンダードなアクリル絵具。絵具セットは基本色が揃う
アクリルジェッソ(カラージェッソ):
 アクリルジェッソはアクリル画の下地剤として使用するため組成されている。白を多く含んだ不透明色の色味が豊富に揃う。好みの下地として使うことや、描画用とすることも可能である。
アクリルメディウム/ジェルメディウム:
 粘度のあるアクリルエマルジョンである。コラージュなどの接着に適す。その他にグロスメディウム、マットメディウム、モデリングペーストなど多くの種類がある。
下地材(プライマー):
 金属用、ガラス用、陶磁器用、コンクリート用など支持体に塗布することでアクリル絵具のつきを良くする。
アクリルガッシュ:
 アクリルガッシュは新しい絵具なので、スタンダードタイプと区別するためGOUACHEと明記されている。
筆:
 絵具がアルカリ性なのでナイロン筆がよいとされる。但しナイロン筆は水分の吸収が天然毛より劣る。使い勝手は作者次第である。油絵筆や水彩筆など使い慣れたものがよい。
パレット:
 速乾性のアクリル絵具は使い捨てのペーパーパレットが掃除の手間も無く便利である。その他にガラス板など表面が滑面のものが使いやすい。
パレットナイフ/ペインティングナイフ:
 
ナイフは大きさや形状など用途に応じて各種用意するとよい。
筆洗器:
 絵具を薄めることや使用後の筆を洗うのに使う。使い勝手や状況によるが大きなものは水の取替えが少なく、長く使える。
ローラー:
柔らかいスポンジ製のものは、絵具の吸収や伸びが適度で使い易い。
地塗り筆:
主に下地を塗り込むのに使用する。ジェッソなどを塗り込むのに使用する。
スキージ:
絵具やジェッソを大きく平たく塗り込むのに使用する。ゴム製やプラスチック製など各種ある。好みに応じて工夫するのもよい。
■下地(地塗り)を作る:
■参考作例:
アクリル絵具
材料と用具描画材
アクリル絵具
 1930年代メキシコでの壁画運動に使う塗料の要請がもとで、アメリカの企業により開発が進められる。そもそもは野外制作を念頭に作られた絵具である。製品化は1950年代半ばとされ、ニューヨーク派の現代作家が使用することで広く一般に普及する。半世紀ほど前に作られた新しい絵具である。
 アクリル樹脂とは主に石油系の原料を蒸留して作られるアクリルエマルジョン(合成樹脂※1)を展色材とする。万能で自由度が高く、現代では欠かす事の出来ない絵具の一つである。
※1
樹脂と言うと現在では合成樹脂をさすが、そもそもは天然樹脂である。天然樹脂とは樹木から分泌される物質で、空気中で固まる性質から古来より糊として使用されている。樹木の種類によりさまざまな樹脂がある。描画用としてはダンマル樹脂、コーパル樹脂などが代表的である。現代では天然樹脂に変わり、合成樹脂が主流である。塗料としての合成樹脂にはビニール樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などがある。ペンキやニスなどさまざまな塗料がある
主な特徴
1、水溶性である。このため水で薄めて水彩絵具のように使用することや、
  油絵具のように盛り上げる事も可能である。
2、速乾性である。一度乾くと皮膜は水では溶けない。
3、発色が良い。粒子の細かい合成有機顔料を多く使用している。
4、堅牢である。経年変化による黄変が無いとされる。
5、支持体を選ばない。ジェッソやプライマー(下地剤)があるので、油性面
  以外なら何にでも描くことが出来る。(※2)
※2
下地を施した市販のキャンバスには油絵用とアクリル、油絵の兼用がある。油性と水性の関係で考えると、水性の上に油性は可能であるが、油性の上に水性は固着しない。油絵用のキャンバスは油性下地が施されているため、下地とアクリル絵具で縁がきれる。時間がたてば剥落の原因となるため使用は避けたい
6、各種メディウムが充実している。メディウムにより多彩な表面処理が可能
  である。
サンドジェルによる下地
描画例(オイルパステル)
地塗り筆による下地
描画例(オイルパステル)
ローラーによる下地
描画例(オイルパステル)
スキージによる下地
描画例(オイルパステル)
粒状感のある下地を作る
カラージェッソを地塗り筆で塗る
カラージェッソをローラーで塗る
カラージェッソをスキージで塗る
地塗り筆を使う
筆を自由に動かし下地を作る
塗り込むように下地を作る
ローラーにジェッソをつける
いろいろな方向からジェッソを塗り込む
全体のバランスを見る
パレットナイフで紙にジェッソを置く
スキージで塗る
いろいろな方向からスキージで塗り込む
コラージュによる描画
ナイフで塗る
ナイフで塗る(拡大)
使用分だけ取り出す
参考作例として通信教育課程の学生及び卒業生の方々の作品写真を使わせていただきました。
 紙、布、木材、金属板、ビニールなどさまざまな物を支持体にする事が出来る。例えば紙の場合、専用のデッサン用紙や水彩紙を含めて、クラフト紙、模造紙、再生紙、ボール紙、新聞紙など、アクリルメディウムの工夫次第ではあらゆるものが支持体となりうる。
 また支持体を素材として積極的に捉え、多くの物を支持体として使うという発想は、一方で描く事自体を見つめる事でもある。
●支持体について
 液体タイプでエアブラシ、ペン、筆などさまざまな用途に使用できる。
液体アクリル絵具(アクリル樹脂絵具):
 顔料が多く含まれており、展色材(アクリルエマルジョン)が少ない。また艶消しの効果を図るため、体質顔料が含まれている。
アクリルガッシュ(不透明アクリル樹脂絵具):
 スタンダードなアクリル絵具。主に透明、半透明色である。他の絵具と同様メーカーにより色味や感触は多少異なる。
アクリル絵具(アクリル樹脂絵具):
●描画材の種類
 コラージュとは、(糊で)貼ること、糊付けという意味で、絵画の分野では「さまざまな素材を切り張りする手法」を指す。アクリルメディウムは速乾性で強度があり、素材を選ばず手軽に使えることからコラージュに最も適する。
コラージュ(仏 collage)
 地塗りとは支持体に施すもので、支持体と描画層の間の層である。描画材の固着を良くする事と同時に表現上の効果を工夫する一層目の描画層としての役割がある。作画上の手掛かりを探す手立てでもある。
 例えば紙に薄くアクリル絵具を塗る。この地塗りの役割は、紙の強度を高めること、有色下地が作れること、オイルパステルなど油性描画材の目止めとなること、などとなる。
 デッサンの支持体は主に紙であるが、紙の性質に沿うだけでなく、好みの紙に作り変える事が出来る。このことで支持体(紙)の選択の幅や活用の仕方は大きく広がる。
下地(目止め・地塗り)を作る