06造形ファイル<素描>
 デッサンという言葉の意味するところは広く、美術、デザイン、建築、文学など諸領域にまたがる。日本語のデッサンと言う言葉はフランス語のdessinから来ていて、素描とも言う。また、英語ではドローイング(drawing)、イタリア語ではディセーニョ(disegno)、ドイツ語ではツァイヘヌング(zeichnung)などと言う。
 フランス語のデッサン(dessin)は、素描、図画、見取り図、製図、模様、意匠、デザイン、落書き、漫画、構想、輪郭といった意味があるのに対して、英語のドローイング(drawing)は、引く、引っ張るという意味のdrawと言う言葉の現在進行形で、引く事、引き出す事、線描、線画、スケッチ、図画、図面、製図といった意味を有する。
 このように各々の言葉の意味するところは、その言葉が取り込まれる歴史的な経緯や、地域や民族による表現の違いを反映し、重なりとズレを生じたりしながら今日に至っている。

 デッサンを定義づけることは困難であるが、一般的に美術におけるデッサンは、木炭・鉛筆・コンテなどを用い、単色に近い色数で描かれた絵画、または線画とされ、彩色をともなった絵画(タブロー)とは区別される。また、「この絵にはデッサンがある」とか「無い」といったように、絵画の構造や造形上の骨組みを指す言葉としても使われ、絵画の基礎という意味合いを持つ。同時に、「デッサンは人間をつくり、人間がまたデッサンを深める…」という言い方のように、デッサンは芸術家の教養であり、修養すべきものであるとした、精神的かつ教育的な面をも有する。

 デッサンは長い間、創作の草案のようなものとして考えられ、作品の下絵として描かれ、作品の制作過程の一端と見なされていた。その芸術的な価値が西欧で認められるのは、明暗法が確立するルネッサンスのころで、複雑な表現技法がさまざまに用いられ、独立した作品の一分野としてみなされるようになった。19世紀以降になると、作品の下絵や習作としての役割から解放されたデッサンは、その自律性を取り戻し、色彩を使った完成作品とは違ったより直截な表現として、技術の有無に関わらず、簡素なものから複雑なものまで幅広い表現が行われるようになった。
 デッサンには、クロッキー(ごく簡単な線描で対象の特徴を素早く捉えるデッサン)や、スケッチ(気軽で構えたところのないデッサン)なども含まれる。

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言葉と意味について


サンプルは以下の会社の製品を使用しました。
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役割の歴史的変化
○アルシュ社
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○沖水彩画用紙製造所
○カランダッシュ社
○キャンソン社
○株式会社クサカベ
○株式会社呉竹
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○コンテ社
○ゴンドラ社
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○シュミンケ社
○ステッドラー社
○セゾン・ド・セヌリエ社
○ゼネラル社
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○ダーヴェント社
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○ファーバーカステル社
○ファブリアーノ社
○ペリカン社
○ぺんてる株式会社
○ホルベイン工業株式会社
○三菱鉛筆株式会社
○株式会社ミューズ
○リラ社
○ロイヤルターレンス社
○ワットマン社

企画:武蔵野美術大学通信教育課程
監修:島 眞一(通信教育課程教授)大家 泰仁(通信教育課程 講師)
製作:榎本 倫顯(工芸工業デザイン学科/共通デザイン研究室 講師)
編集・撮影:榎本 倫顯
撮影補助・モデル:清田 悠紀子・山成 景子・小崎 慎介・中野 めぐみ・小林 絵里菜・岩崎 勝利
協力:通信教育課程研究室


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