日常よく使われる図面に関する言葉について改めて説明する。

原図:original drawing):
 
製作の元になる図面。計画のその段階での決定を表す。
第二原図/トレース図(写図)Traced drawing:
 
複写目的で原図にトレース紙を重ね、写し取ることをトレース=写図という。写図によってできた図面はトレース図、第二原図とも呼ぶ。
青写真:
 青写真用の感光紙を使って焼き付けてから、水洗・乾燥して複写する。光を受けた部分は青くなり、図は白線で表示される。青焼きと混同しやすい。
陽画写真:
 
乾式と湿式とがあり、青焼き・白焼きとも呼ばれている。
青焼き:
陽画用の感光紙に焼き付け、現像液に通して現像する。一般的に使われているのがこの湿式複写機で、複写図は全体がうっすらと青味を帯びるので「青焼き」と呼ぶ。
白焼き:
 陽画用の感光紙を焼き付け、強アンモニア液を下部に入れた現像筒に密封して現像する。乾式複写機では白地に黒線、紫、褐色線になり「白焼き」と呼ぶ。
JIS Z 8114-1999による主な図面の種類
用途による分類 計画図 設計の意図、計画を表す
試作図 製品または部品の試作を目的とする
製作図 製造に必要な情報を示す
行程図 特定の製作行程で加工する部分、方法、工具などを示す
スエツケ図 機械やボイラなどを据え付け関係を示す
注文図 注文書に添える、大きさ、形など注文内容を示す
見積図 見積書に添えて、依頼者に内容を示す
説明図 構造・機能・性能などを説明する
表現形式による分類 展開図 対象物を構成する面を平面に展開する
曲面線図 船舶、自動車などの複雑な曲面を線群示す
計装図 測定、制御装置を機械装置等に装備・接続した状態を示す
(電気)接続図 図記号を利用して、電気回路の接続と機能を示す
配線図 装置またはその構成部品における配線の実態を示す
配管図 構造物や装置における管の接続・配置の実態を示す
内容による分類 部品図 単一部品の定義に必要なすべての情報を示す
組立図 部品の相対的な位置関係、組み立てられた形状などを示す
素材図 機械部品などで、鋳造、鍛造などの加工前の状態を示す
鋳造模型図 鋳造用の模型(型)を描いた図
配置図 敷地内の位置や据え付け位置を示す
図面の種類は古くはJIS Z 8302によって規格化されていた。
 製図のプロセスによって図面は呼び名が変わる。発想を具体化していく段階では製図と呼ぶより、デッサン、ドローイング、ラフスケッチと呼ばれる方が多いが、そこにも図法がベースにある。スケッチの段階から下図の段階へ移行すると、きちんとした規格を元に描かれるようになり、計画も一層現実化、具体化する。
 原図は決定案である。例え試作図であっても、模型制作のためであってもその段階での決定を下したものである。しかし、原図をそのまま製作図にはしない。原図を手元に残し、制作者に手渡すために複写が必要になる。
 複写図はトレース図とも呼ばれるだけでなく、第二原図とも呼ばれ、具体的な制作段階に移行する
 JIS Z 8114は、本来、「製図用語」の規定であるが、図面の種類についても以下のように規定している。