最も外側の外形線は、他の外形線より僅かに強めに表現すると、外形が認識しやすくなるだけ見やすい図面になる。
 主投影図の選択と同様に、人が形態を認識するには外形の把握が最も必要だからである。
 この考え方はテクニカル・イラストレーションにも応用されている。アイソメトリック図法などで描かれた線図では、線の太さに変化を付けただけでも立体感が変化し、最小限の作業でも立体感を見る人に喚起させることが可能になる。
 図面の省略は製図の3大原則の1つ、「迅速さ」の具体的な方法である。
 左右対称の場合は半分の描画でよい。図のように平面図と正面図で描画する関係を揃える。側面図も描画側を描く。
 もし、右図で半透明になっている左側を描くなら、右側面図はA-A'断面図で表されている座面は、かくれ線ではなく、実線で左側面図に表示しなくてはならない。
 同じものが連続してたくさんある場合などは、全部描かず、一部を詳細に記入して、位置など必要な情報だけ記入して残りは省略して構わない。
これらの省略法については、「機械製図基礎〜省略による図形の表し方」でより詳しく説明しているので、参照するとよい。
 椅子の正面は左右対称なので片側だけで必要な寸法をとることができる。そこで中心線を示し、半分だけ描画する。その時、側面図を描いているので、省略は側面図の反対側になる。
 上の図でどちらを正面とするか?は、椅子では迷わないと思うが、部品図になると正面を決めにくいものもたくさんある。
機械製図基礎〜省略法
 はっきりと直線的に変化する形状は、外形線の記入で迷わないと思うが、面取りや曲面などを描く時に、どう描くのか?判断に迷う場合がある。
 曲面でも面の変化がはっきりしている場合には補足投影図に必ず記入するが、なだらかな変化の場合には他の面で形状を説明するしかない。
 右の図で右側の正面図では折れ曲がった部分があるので、平面図に線で表示しなければならないが、左の正面図ではなだらかな変化のため、平面図には線が入らない。
 その物体をみた時に曲面に線が見えるかどうかを考えて判断する。かくれ線を記入し忘れることが多いことにも注意を忘れずに。