1点および2点透視図法では、垂直方向の線はすべて垂直として処理されるが、3点透視図法では垂直方向にも消点を求めて作図する図法である。
 ただし作業量が多い割に、焦点距離の短い(超広角〜魚眼)レンズで写した写真のように、誇張が強すぎてゆがんだようになってしまったり、不自然になることが多く、余程の大きなものを描く(スケール感が必要な)時でも使われない。
 そこで2点透視図法を応用して、第3の消点を求めていく図法を用いるのが一般的になっている。
 描く立方体の頂点からコンパスで円を描き、円周上に消点を取って、3消点を等距離に配置すると視点、消点は右図のようになる。
 3点透視図法をこのように説明している製図の手引書を見たことがあるが、ここでは推奨しない。このような状況の見え方は通常見ることができないからである。
 というより、通常の状況では、3消点の距離はそれぞれ異なるので、作図法として間違っていなくても、このような作図はしてはならない。図のような強すぎる遠近感は現実感が向上せず、無用な作業量が増えるだけである。
 2点透視図法から転換する方が作業が早く、実用的である。水平線上の2点の消点に垂直方向にもう1点の消点を加えて作図する。
 平行透視で求めた図形から3点透視図法に変換していく。図で青線で描かれているのは平行透視で立方体を表している。
  1. C-Dと視点Sからの垂線との交点をPとし、立方体の底面の各頂点ABEFとを結ぶ。
  2. Cから任意の角度で斜線を下ろし、PBとの交点をqを求める。この点の求め方には取り決めがないので、斜線の角度を求めるにはある程度のデッサン力も必要になる。
  3. qから水平線をのばしrを求める。q、rと視点Sとを結び作図を完成させる(図中赤線)。
平行透視からの変換による3点透視図法:
 2点透視図法(45°)で描いた立方体(青線)を元に、3点透視図法に変換する。
  1. Aとb、Cとbを結び対角線Ab、Cbを引く。
  2. a から任意の角度で斜線を引き、Abとの交点 E を求める。
  3. V1 から E を通る線を延長し、Bbとの交点 F を求める。
  4. V2とも結び、Gを求めます。
  5. それぞれを結び、作図を完成させます。
45°法から変換した3点透視図法:
 「aからの任意の角度」がポイントになる。ほんの少しの角度で作図しないと、誇張感が強くなりすぎてしまうので、注意すること。
 極端な見上げや見下ろす視点の場合は、上下方向の消点距離がかなり短くなる。
 俯瞰法も先に平行透視による作図をしてから*、3点透視に変換していく。
  1. 右図で、水平線HL1に対して任意の角度に正方形ABCD(青線)を描き、HL1との近接点である角Bから垂線を下ろし、HL1との交点をSとする。
  2. 正方形ABCDの各点とSとを結ぶ。
  3. Sを通る正方形ABCDと平行な直線を引き、HL2とする。
  4. ここから平行透視の作図を始める。まずAからHL2上のに決めた消点V1を結ぶ。
  5. AV1とDSとの交点をdとして、dからADと平行な線を引き、ASとの交点をaとする。
  6. 同じくDCと平行な線をdから引きCSとの交点をcとする。
  7. a(c)からAB(BC)と平行な直線を引き、BSとの交点bをもとめて、abcdを結べば、立方体で正方形ABCDの対面になり、平行透視(2点)による立方体ABCDabcd(青色)ができあがる。
  8. Dd上に任意の傾斜角を取り、D'を決める。
  9. D'からADに平行な直線を引き、Aaとの交点を求めA'として、V1とを結ぶ。
  10. Aからd’を通る直線を延長して、HL2上にV2を求める。
  11. V2からcを通る直線を延長して、BSの延長線上との交点をB'とする。B'はd'の対角点になる。
  12. bとV1を結ぶ。CSとの交点をC'として、V2からC'を通る延長線からBbとの交点をb'とする。
  13. AD'CB'ad'cb'が、求める俯瞰法による立方体(橙色)になる。
*:
 作図の手順を変えて、先に平行透視による立方体の作図をし、水平線HL2を任意の角度に回転させてから、俯瞰法による作図をしてもよい。
 HL1を水平に引き、Bからの垂線からSを求めていっても描くことができる。