形状や構造、機能などを解りやすく伝えるために、見た目に近い表現をする図を「テクニカル・イラストレーション(T.I.:Technical Illustration)」という。製品カタログや取扱説明書、組み立て・分解図などに広く利用されている。
 基本的には等角投影図法を元にして陰影やテクスチャなどを加えてイラストレーション化し、絵画的な説明機能と表現性を高めている。
 目的に合わせて、効果と作業スピード(効率)を考え、表現手法をいろいろ選択することが重要である。
 最も簡単なT.I.は、等角投影図法から線の強弱を加えた表現で、外径線を太くして形状を強調する手法が主である。
 着彩表現を加えることで、配色や質感が加わり、より現実的な表現が可能になる。本来テクニカル・イラストレーションとはこれをいう。
 CAD・3Dアプリケーションの普及と発達から、現在ではテクニカルイラストレーションの大半は、コンピュータ・グラフィックスによって制作される場合が、殆どになってきた。
 製図の領域だけでなく、グラフィック・デザインでも制作の大半がコンピュータを使ったデジタル・ワークへ移行してきている現状から見れば当然の流れとも言える。
 アプリケーション・ソフトウェアは積極的にこの動きに連動し、製図からレンダリングへの流れを強化している。
 ワイヤーフレームやレイトレーシング時のカメラビューによる編集だけでなく、アイソメトリック図法やキャビネット図法などさまざまなタイプへの対応をそれぞれのCAD・3Dアプリケーションの特徴として提案している。
 テクニカル・イラストレーションの図法であるアイソメトリック図法にも45°法だけでなく、30°〜60°法もある。
 上は45°法を利用したVector Works(CAD アプリケーション)によるアイソメトリック・モードのレンダリングである。下は集合住宅のプレゼンテーション用で30°〜60°法を使い、Adobe Illustratorで描かれている。
インテリア・デザインや建築系でもテクニカル・イラストレーションが多用される。