定められた投影法に基づき形状や大きさを表したものを「図形:view」、その図形を規定の様式で表し、寸法など必要情報を描き加えたものを「図面:Technical drawing」と呼ぶ。更に図面を作成することを「製図:drawing」という。
製図はものを設計したり、構造を図に表したりする“世界共通言語”とも言える表現、表示方法である。製図にもいろいろな図法があり、言語同様に表現するための様々なルールと仕組みが詳細に決められているので、情報の伝達や様々な表現ではそれぞれの特徴を活かし、目的に合わせた適切な図法選択が大切になる。
一般的に技術は産業の発展を支える重要な要素であり、製図〜図面は技術の進歩に欠くことができないものとして捉えられている。
一方、ルネッサンス期には既に透視図法を明確に表す絵画も現れ、時代ごとにさまざまな工夫を見い出すことができ、絵画の発展とも深く関係する側面を持つ。
表現、表示として現代の文化、文明を底辺で支えている製図であるが、このサイトでは美術領域で活用するために製図をまとめようとするものである。
製図は古典絵画の定義づけと同様、「形を正確に表すため」に描かれる。そのためにさまざまな図法が生み出され、共有できるように管理されている。
手作業(アナログ)で作業していた製図も、通信・保存・検索・利用など、データ共有の様々なメリットだけでなく、分担作業、修正の簡便さ、表現レベルでの高質な均一さが保持できることから、<デジタル化>が急速に進んできている。
CAD System(キャドシステム:Computer Aided Design system、コンピュータ援用設計システム)*は、開発された当初は高価な専用機を用いていたが、安価なパーソナル・コンピュータでもアプリケーション・ソフトウェア*によって動作可能になったため、近年、製図を利用する各分野で急激に普及してきた。
製図が使用される現場は、ものを作り出すために正確な伝達機能(製図法などの規定)が重要とされる。これを「共有情報」とし、積極的に活用するためにデジタル化が進んでいるともいえる。これを記号論的な捉え方をすれば<外側に働く製図機能>としてあげることができる。
しかし同時に製図は絵でもあり、自分が作りだすものについて思考するための非常に重要なプロセスでもある。思考を視覚化していく時には、製図法をベースにしたラフスケッチの繰り返しが最も重要で、形態の把握〜美の追究だけでなく、展開図に変化したり、部品相互の組み合わせや素材・質感・仕上げ・加工方法、配色計画など様々な思考を実現する力になってくれる。
これを実現するには「立体を平面上に表す能力」だけでなく「平面上に表されたものから立体把握する能力」も合わせて必要になるが、この能力は手を動かし、思考を組み立てるプロセスの繰り返しによって開発されるものである。
この≪思考するための非常に重要で身近なプロセス≫は共有情報に対して<内側に働く製図機能>と呼ぶことができる。
このような点において、デジタルワーク・アナログワークの有利・不利という考え方は消失し、それぞれの「特質」として整理され、目的に応じてその機能の活用をはかるべきである。
05 造形ファイル<製図>
企 画
監 修
製 作
編集/撮影
:武蔵野美術大学通信教育課程
:榎本倫顯(工芸工業デザイン学科/共通デザイン研究室 講師)
:榎本倫顯
:齋藤聡昌、小林絵里菜
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CAD System:
アプリケーション・ソフトウエア:
この仕組みについてはコンテンツとしてまとめてある。 |
共有情報:
この機能に対してデジタル化とCADシステムが非常に有効なため普及が進んだとも言える。 |