水張り
水張りとは糊を使わずに紙を水で湿らせてパネルに張り込むことをいう。
水彩絵具、アクリル絵具など水を使う絵具を使用する場合は、紙が波打つと作業がし辛く破れ易くなり、絵具ののりや発色にも影響する。また乾燥後の仕上がりも波打ちが残ると見栄えが良いとはいえない。
描画作業が行い易いように水分による波打ちを抑え、乾燥しても元の真っすぐな平面になるように事前に施すのが水張りである。ここでは最も標準的なB2画用紙をB2パネルに水張りする方法を紹介する。
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洋紙は繊維の長さも種類もサイジング処理もそれぞれの紙で違うので、紙の波打ち具合は種類により異なる。
また300kg/㎡位の厚みを持つ紙は多少の水分では波打たない。
紙の伸縮や波打ちを表現効果として利用したい場合は、特に水張りはしない。
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紙が薄い場合はフラットな板に紙を湿らせて水張りテープを貼ると固定できる。画用紙位の厚みになるとパネルの側面に折り込む必要がある。
■用意するもの
●画用紙B2サイズ
画用紙(原紙寸法)を用意する。
●水張りパネル
画材店で購入できる一般的なもの。ベニヤ板と角材で出来た薄くて軽いパネル。画用紙のサイズに見合ったものを用意する。
●水張りテープ
水張り専用のテープを用意する。テープ幅は2、5cm程度のもの。画材店、文具店で購入できる。
●平刷毛(またはスポンジ)
B2サイズであれば、刷毛幅は6cmぐらいのものが使いやすい。細くて幅のないものは斑ができるので専用のものを用意したい。スポンジでもよい。
●筆洗(またはボール)
刷毛を使う場合は小さな筆洗は使い辛い。また画用紙にしっかりと水を含ませるので適当な大きさのものを用意する。
●カッター
紙の余分を切るのに使用する。小型のものでよい
■水張りプロセス
1、紙のサイズとパネルサイズ
B2サイズの紙(原紙寸法)はB2サイズのパネル(仕上がり寸法)よりサイズが大きい。まず紙とパネルを重ねてみる。
水張りをする時の紙の大きさは、水を吸って延びた状態で紙がパネルの側面に収まるサイズにすることである。今回のパネルの厚みは2,5cmある。四方の辺に2,5cm弱の長さをとり、不要部分の紙を裁断する。
紙の目を考えると水を吸った状態では縦方向に長く延びることに注意したい。
紙とパネルのサイズを確認する
2、水張りテープを切る
水張りテープはあらかじめ切っておく。テープの長さは紙を固定するため、裁断した紙よりも数センチ長くとる。4辺で固定するので4本用意する。
長短各2本の水張りテープを準備する
3、紙をセットする
作業台にパネルと紙をセットする。パネルはベニヤの面(表面)が上にくるようセットする。画用紙は裏面が上にくるようセットする。
画用紙の表面は濡らさない。
4、紙を水で湿らせる
刷毛に水含ませて紙に水を引く。斑なく全体に紙を湿らせると良い。まず真中より対角線に引き、縦横の順番で刷毛を大きく動かし、全体に行きわたるよう進める。水の量が多いと周辺に水が流れたり、斑の原因となる。
水の量が少ないと紙が延び切らないので注意する。
画用紙が水をしっかり吸い込むまでしばらく待つ。
5、紙を引っ繰り返す
紙がしっかりと水で延びた状態を確認し、紙を引っ繰り返す。画用紙の表面(おもてめん)が上にくる。
この時に上下左右の折込み分が均等になるように紙をセットする。紙とパネルが密着するように間の空気を抜く。
紙の端に軽く折込みをつける。紙は側面に折り込んだ部分が糊しろとなる。紙によっては柔らかく破れやすくなるので取り扱いに注意する。
6、テープの使い方
水張りテープは片面に水糊がついている。この水糊の面だけを湿らせる。紙の面を湿らせるとテープは破れやすくなるので注意する。
刷毛に適度な水を含ませテープを引っ張る。要領のいる作業なので初心者はあらかじめ練習をするとよい。
テープを湿らせるのは一辺ごとの作業がおわるごとに行う。
7、テープで接着する
長い辺から固定する。テープは水が浸透すると粘着力が出てくる。水張りテープは紙とパネルの両方を接着することで固定する。まず紙にテープを接着する。紙の糊しろ部分よりテープがはみ出すように接着する。
接着した紙とテープの両方でしっかりと折り込み、テープのはみ出した部分をパネルの裏側に巻き込むようにテープを接着する。
この作業は慣れが必要である。ケント紙など厚手の紙の場合は慣れていても難しい。
上手くいかない場合は、ホッチキスやガンタッカーで湿った紙をパネルの側面に数箇所固定し、その上からテープを貼るとよい。但しホッチキスやガンタッカーの芯は焼きが入っていないとすぐに錆びるので注意したい。
8、角の処理
長い辺の両角は短い辺に折り込む。パネルを包装紙で包むような要領である。
水張りは特に角が膨れて失敗することがある。角の折込みは丁寧に行うよう心がける。
長い辺の両方が終われば短い辺を固定する。
角の折り込み
9、乾燥
水張りが終わった段階では紙が少し波打つこともある。これは乾燥すると紙の水分が抜けて徐々に収縮するので波打ちはなくなる。
乾燥は自然乾燥が良い。季節や状況にもよるが1時間程度で乾燥する。
テープ以外の糊は使用していないので作品完成後の紙の切り取りも容易である。もちろんパネルごと保存する事も出来る。
紙にシワが入っても触らないようにし、風通しの良いところに置いて乾燥させる
切り取り方
画用紙をパネルから取るには、テープを貼った側面にカッターなどで×型に切り込みを入れ、パネルと画用紙との隙間に刈田を差し込む。
カッターは押すようにして隙間を移動させ、1辺ごとに切り取っていく。
※角が丸くならないように注意すること。
刷毛を使う場合 |
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たっぷり刷毛に水を含ませる
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対角線方向から水を塗り始める
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刷毛の使い方 |
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テープを刷毛で濡らす
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スポンジを使う場合 |
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先にたっぷり水を含ませた後絞り加減する
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対角線方向から水を塗り始める
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余分を切る
スポンジの使い方 |
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テープをスポンジで濡らす
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