物体の形を平行光線を利用して、1つの投影面に斜めに表す図法。正投影図から作図する。
 物体の一面を、必ず投影面に平行に置いて作図していくが、この平行な面の投影は常に大きさ・形状は正投影と同様で、実物のままになり、正面図から斜めに奥行きを投影するように見える。
 透視図法と一緒にして誤解している人もいるが、図法的に違うものである。
 また、斜投影図法は実際の寸法をそのまま使うので、ゆがみがきつくなる。簡略できる作図スピードのメリットとゆがみの強さのデメリットをはかることが、この作図法を選択するか、どうかのポイントになる。

作図のポイント:
 右図は立方体の正面を少し削り取った立体である。グレーで表示しているのは第一角法の図面。これを元に斜投影図を描いていく。
 斜角度は任意で設定して構わないが、通常、30°45°60°を使うことが多いようである。
 立方体の作図で奥行きの比率は下の表のようになる。1辺の長さをciとする時、奥行き寸法cgの長さは

30°
cg=√3/3ci
45°
cg=√2/2ci
60°
cg=ci

奥行き寸法になるので、上のような作図をしなくても奥行きをとれるため、作図が簡単になる。
 斜投影図法の内、奥行き方向を45°にし、尺度を実長の1/2設置して作図する方法を「キャビネット図法(Cabinet projection drawing)」と呼んでいる。
 この図法では、奥行き寸法を<実長の半分>に設定する(cg=1/2ci、斜投影図法では45°の場合、√2/2ciになる)ので、簡単に作図寸法を割り出しながら効率よく描くできる。
 斜投影図では実寸をそのまま使うため、少し奥行きが長く見える傾向があり、ゆがみがきつくなって見える。キャビネット図法ではその点が修正されるので、返って自然な感じに仕上がる。上下の立方体を比べれば一目瞭然である。
 家具の製図では棚板が多かったり、入り組んだ部分などが意外と多くあり、作図に結構時間がかかってしまう。2点透視図法などで作図をした経験があるなら、独自の図法となり、この名がついた由来を想像するのは簡単だ。