ここでは絵画やデザインを学ぶにあたって必要な、基礎的な色彩の知識を紹介する。











■色の見え方
 色の現象は、物理的な刺激を人間が認知することによってはじめて成立する。色を効果的に用いる場合には、ある色がどのような印象を見る者に与えるのか、またその色がある状況においてどのように見えるかについて配慮しなければならない。


■固有な見え方をする色
 色が見る者にどのような印象を与えるのかは、色の組み合わせによって変化するが、過去の研究からある色は特定の印象を見る者に与えることが報告されている。ここにその数例を挙げる。

・暖色/寒色
 一般的に、オレンジや赤などは見た目に暖かい印象を与え、青や青紫は逆に冷たい印象を見る者に与える。前者を暖色、後者を寒色と呼ぶ。

・進出色/後退色
 一般的に赤や黄色は見る者の近くにあるように見え、青や青紫は遠くにあるように見える。前者を進出色、後者を後退色と呼ぶ。

・膨張色/収縮色
塗られた面積が一定でも、色によって大きく見えたり、小さく見えたりする事がある。大きく見える色を膨張色、小さく見える色を収縮色と呼ぶ。色と大きさには特に明度が関係しており、明るい色ほど大きく見えることが報告されている。


■色の相互作用による見え方の変化
 私たちのまわりでは、ある色は独立して存在しているのではなく、様々な種類の色に取り囲まれて存在しているのが普通である。ある色はまわりに置かれた色との関係によって変化して見えたり、違った印象を見る者に与えることがある。この色と色との相互作用には大きく分けて2つの種類がある。

・同化
 ある色と別のある色を一定のやり方で並べると、一方の色が一方の色の性質に近づいて見えることがあるが、この現象を同化と呼ぶ。この時、近づける力をもっている色を誘導色、近づけられる側の色を被誘導色と呼ぶ。下の図では同じグレーのバックが上と下の列では青に同化してより暗く見え、真ん中の列では黄色に同化して明るく見えている。






・対比
 同化とは逆に、ある色とある色が並べられた時、両方の色の性質の違いが強調して感じられる場合がある。この現象を対比と呼ぶ。対比には、同時に色を見る時に対比の効果があらわれる同時対比と、ある色を見たあと、継続して別の色を見た時に対比の効果があらわれる継続対比とがある。


■さまざまな対比現象

・彩度対比
 中の小さい四角は左右同じ色だが、左の背景の色のほうが彩度が高いため、左の図の色の彩度が低く見える。




・明度対比
 中の小さい四角は左右同じ色だが、左の背景の色のほうが明度が低いため、左の図の色の明度が高く見える。




・色相対比
 中の小さい四角は左右同じ色だが、左右の背景の色の色相が違うため、図の色相も変化して見える。




・補色対比
 補色は色相環で向かい合った色(赤や緑)のことであるが、補色同士を並べると激しい対比効果があらわれる。中の小さい四角は同じグレーだが、左のほうが青みがかって、右のほうは黄みがかって見える。




・辺縁対比
 一色の均一な色面でも、隣り合う色と色の縁の部分は対比現象がおこり、中心部とは違った色に見える。このことを辺縁対比と呼ぶ。







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