写真は様々な表現をするうえで幅広い使い道があります。
写真の性質を理解して、イメージどおりの写真を撮りましょう。







映像を記録するためにフィルム面に光を当てることを露出という。露出の度合いは写真の出来ばえを左右する決定的な要素である。ここでは、カメラにおいて露出を調節する機構である絞りとシャッターについて説明する。

■露出
カメラのシャッターボタンが押されることでフィルム面に光が当たることを露出という。正確な画像を得るためには、フィルムに過不足のない量の光を当てること(適正露出)が必要になる。この光の量の調節を、カメラでは、絞りとシャッター速度を操作することによって行なう。絞りではフィルムに当たる光の強弱が変化し、シャッター速度ではフィルムに光が当たっている時間が変化するが、この両者のバランスを図ることで、さまざまな条件や意図に応じた適性露出を得ることができる。一般的なカメラでは、露出の設定は自動化され、画面に応じて絞りやシャッター速度が調節され、適性露出が得られるようになっている。

■絞り
絞りは、レンズの中に収められた羽根を開閉させることで光の強弱を変化させ、フィルムに当たる光の量を調節する機構である。内部の羽根を閉じて光が通る穴を狭め光を弱めることを「絞り込む」と言い、羽根を開いて穴を拡げ光を強めることを「絞りを開ける」と言う。絞りの程度はF値[エフち]と呼ばれる数字で示され、1、1.4、2、2.8、4、5.6、8、11、16、22と段階的に設定され、数字が小さいほど絞りが開いた(光の量が多い)状態、大きいほど絞り込んだ(光の量が少ない)状態を示す。絞りの1段分の変化は、光の量が倍または1/2に変化することに相当する。

■シャッター速度
シャッターは、通常暗い状態に置かれているフィルムに光を当てる機構で、シャッターを開く時間の長短によって、フィルムに当たる光の量を調節する。シャッターを開く時間が短い(高速)ほど光の量は少なくなり、時間が長い(低速)ほど光の量は多くなる。シャッター速度はシャッターが開いている時間を「○分の○秒」というかたちで示し、1秒、1/2、1/4、1/8、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500、1/1000と段階的に設定される。分母の数字が小さいほど光の量が多く、分母の数字が大きいほど光の量が少なくなる。シャッター速度の1段分の変化は、光の量が倍または1/2に変化することに相当する。B[バルブ]は、シャッターボタンを押している間シャッターを開けておく設定で、主に夜間の特殊な撮影(天体写真など)に用いられる。


水の吹き出る様子をシャッター速度を変えて撮影した図
左:1/60 右:1/500

低速のシャッター速度では動きを出すことができ、高速のシャッター速度では動いているものを停止させる表現ができる。



■絞りとシャッター速度の関係
絞りもシャッター速度も、1段分の操作により光の量が変化する度合いは同じなので、ある適性露出の状態を実現するにも、絞りとシャッター速度との組み合わせは何通りもある。そのなかから、撮影の条件や意図に応じて最適な組み合わせを選択することが必要になる。絞りを開けると、レンズの性質により焦点(ピント)の合う範囲が狭まり(被写界深度[ひしゃかいしんど]が浅くなり)、画面の中でピントが合った部分以外はぼやける画像になる。絞りを絞り込むと、焦点の合う範囲が広がり(被写界深度が深くなり)、画面の全体が鮮明になる。シャッター速度を高速にすると、動きのある被写体を静止した画像で捉えたり、手ぶれで画像が乱れるのを防ぐことができる。シャッター速度を低速にすると、動きのある被写体は流動感のある画像となるが、手ぶれを避けるため三脚などを使用する必要が生じる。一般的なカメラでの露出の自動調節方式には、絞りの手動設定に合わせてシャッター速度を自動調節するもの(絞り優先AE)や、シャッター速度の手動設定に合わせて絞りを自動調節するもの(シャッター優先AE)、また撮影状況を判別して両者を組み合わせて自動調節するもの(プログラムAE)などがある。


シャッター速度・絞り値とフィルム感度の相関例


◇露出計
露出計は被写体の明るさを測ることによって適正な露出の設定を判断するための道具である。現在ほとんどのカメラには露出計が内蔵されているが、単体の露出計を用いることで、被写体や撮影環境に応じたより細かな露出の計測をすることができる。とりわけ、照明や反射板などを用いて光を人工的に整える場合に必要となる。露出計には、被写体の位置で光源からの光の照度を測る入射光式と、カメラの位置で被写体からの光の輝度を測る反射光式があり、両方式が併用できる製品もある。





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