写真は様々な表現をするうえで幅広い使い道があります。
写真の性質を理解して、イメージどおりの写真を撮りましょう。 |
カメラ(camera)は現在では写真機をさす言葉だが、もともとラテン語で「(アーチ形丸天井の小さな)部屋」を意味していた。暗い部屋の中で、壁に開いた小さな穴を通る光によって屋外の光景が倒立して写し出される現象は紀元前から知られており、それを装置化したものがカメラ・オブスキュラ(「暗い部屋」の意味)で、中世以来アラビアやヨーロッパにおいて天体観測や絵画制作に用いられた。ピンホールカメラ(針穴写真機)はこの原理をそのまま利用したもので、投影面にフィルムや印画紙を置いて撮影をする。空き箱を使ったものや既存のカメラを流用したものなどがあり、手づくりの楽しさと独特の表現とがあいまって人気を集めている。カメラ・オブスキュラにレンズや絞り・シャッターなどの機構、写真フィルムの発明などが加わることで、現在のカメラが成立した。 ■コンパクトカメラ 風景や人物、スナップ写真など、ふだん手軽に写真を撮ることを目的とした、比較的安価なカメラ。主に35ミリフィルムを使用し、露出やフォーカス(焦点)の調整はオート(自動)化されているものが中心。レンズ交換などの拡張性はないが、小型軽量で操作が簡略化され、初心者でも扱いやすい。 ■一眼レフカメラ レンズから入ってフィルムに届く被写体の像をファインダーで正確に確認できることから、本格的な写真撮影を目的とし、アマチュアからプロまで幅広く使われているカメラ。主に35ミリフィルムを使用し、露出やフォーカスもオートのものが一般的だが、マニュアル(手動)での調整ができるものも多い。レンズの交換やアクセサリーによって、さまざまな撮影条件や写真表現に対応できるようになっている。 ■デジタルカメラ フィルムの代わりにCCDと呼ばれる撮像素子を用いることで、画像をデジタル信号として記録することのできるカメラ。撮影した画像をその場で確認できるほか、パソコンと併用すれば画像を簡単に加工したり、インターネットを経由して送信したりすることが可能になる。性能の進歩も著しく、現在ではコンパクトカメラの出荷台数を追い越し、カメラの主力となりつつある。従来のカメラメーカーのほか、電機メーカーなどでも製造している。一眼レフ形式のものもプロ用を中心にある。 ■この他の主なカメラ ・レンズ付フィルム 旅行先などで手軽に購入してそのまま現像・プリントに出すせるよう、主にフィルムメーカーが製造している簡易なカメラ。性能の高いフィルムを用いることで、比較的良質な仕上がりを得ることができる。「使い捨てカメラ」とも称されたが、今日では部品のリサイクル化が進んでいる。 ・APSカメラ 35ミリよりもひと回り小さい新規格のフィルムを用いたカメラ。フィルムの扱いやすさや画面サイズの多様化が図られている。カメラの機構はほぼコンパクトカメラに準ずる。また、撮影途中でのフィルム交換が可能。 ・中判カメラ 幅約6センチという大きいサイズのフィルムを使うカメラ。35ミリに比べ鮮明な画像を得ることができるが、取り扱いの難しさやフィルム、カメラが高価なことから、主にプロのカメラマンが映像作品や印刷用写真原稿を撮影する場合などに用いられている。 ・インスタントカメラ 撮影後すぐにプリントができ上がるカメラの一種。プロカメラマンがその特徴を活かして画像の確認に使用したり、映像表現に用いられる場合もある。 ◇目的に応じたカメラの選択を このように一般的なカメラにもさまざまな種類があり、それぞれに長所と短所を備えているので、すべてにおいて優れたカメラというものは存在しない。カメラを購入する際には、あくまでも自分の目的や条件に合ったものを選択することが大切である。まずは手近にあるカメラを十分に使いこなし、そこで必要と感じた機能をもとに、ステップアップを図る方が良いだろう。 したがって一概には特定のカメラを推奨することはできないが、美術大学の学生が、写真専攻ではなくても、作品の題材を収集したり、制作した作品を記録するといった用途で写真を撮影するのであれば、画面の構成をファインダーで正確に把握できる一眼レフカメラや、撮影した画像をその場で確認できるデジタルカメラが便利であろう。 COPYRIGHT(C)2004 CCMAU, ALL RIGHTS RESERVED. |