紙を用途によって使い分けることは、デザイン作業をする上でとても重要である。ここで、デザイン作業に使用される代表的な紙について解説する。 ケント紙の用途: ケント紙は平滑性が高いので本来は製図に用いられるが、平面構成や立体構成など広範囲に使用される紙である。紙に強度があり、デザインを学ぶ上で欠かせない 用紙の一つである。画用紙などで代用はできないので注意すること。ケント紙という名称は原産地であるイギリスの地名による。 ケント紙の留意点: ケント紙は、画材店などで手に入るが、原紙寸法と加工仕上がり寸法の差に注意して購入すること。また、パッド(一端をのりづけしてつづってある)になっているものもある。 トレーシングペーパーの用途:
原図を透写したり、仕上がった平面作品や製図が汚れないように保護をしたり、厚手のトレーシングペーパーで照明器具や印刷物などを作ったりと半透明な性質を利用し色々な用途で活躍する。使用目的によって厚さを使い分ける必要がある。 トレーシングペーパーの留意点: トレーシングペーパーにも様々な厚さがある(イメージ画像)。用紙の厚さの項でも触れたように、厚さはグラムで記されている。同じサイズならば、グラム数が大きくなればなるほど、厚くなる。 模造紙の用途:
ロール状になって売られていることが多く、比較的安価なので、気軽にアイデアを思いつくまま描くことができる。アイデアスケッチなどを描くために、利用することが多い。模造紙という名称は、明治期に日本の局紙(大蔵省印刷局で作られた紙)を模したオーストリア製の紙が逆輸入され、それを模造したことによる。 模造紙の留意点: 模造紙は地域によっては局紙、B紙、鳥の子用紙などと呼ばれる場合もあるが、本来はそれぞれ別種の紙である。 イラストレーションボードの用途:
イラストレーションボードは用紙に厚紙を貼り合わせたもので、平面構成や、切り取って立体構成に使用したり、プレゼンテーションの台紙にしたりと活躍の場が広いといえる。ケント紙を張ったケント・ボード、水に強いウォーターカラー・ボード、建築用の模型や立体構成に使用されるマウント・ボードなどがある。 イラストレーションボードの留意点: 色々な紙質、厚み、色、大きさがあるので、用途に適したものを選択する。 ファンシーペーパーの用途:
キャンソン、マーメイド、ワトソン、ミューズコットンなど固有の特徴を持つ紙の総称。イラストレーションやパッケージなどに用いられ、表現に色々な効果を与えることができる。個々の特色には触れないが、自分で手にとって実感することが大切である。 ファンシーペーパーの留意点: 紙の専門店では種類や色数も豊富であるが、一般的な画材店でも人気の高いファンシーペーパーならば入手できる。 画用紙の用途:
使用頻度は少ないが画用紙の紙質を生かして、使い方によっては、ケント紙とは違った味を出すこともできる。 画用紙の留意点: 一般的な画用紙とは別に、学童用画用紙(図画用紙)がある。課題では本来の画用紙を使用すること。 COPYRIGHT(C)2003 CCMAU, ALL RIGHTS RESERVED. |