ここでは絵画やデザインを学ぶにあたって必要な、基礎的な色彩の知識を紹介する。











■光の波長
 我々は光の無い所では何も見ることができない。光源から放出された光が物体に当たって反射され、それが人間の目の視細胞を刺激することによって、はじめて我々は形や色を知覚することができる。光には長さの違った波長が含まれており、その違いが赤や青、黄などの色の違いとして感じられる。我々が色と呼んでいるものは可視光線(人間の目に見える波長の範囲380〜780ナノメートル)の波長の違いによってもたらされる現象であると大まかに言うことができる。


■光のスペクトル
 アイザック・ニュートン(1642-1727)はプリズム(ガラス等でできた三角柱状のもの)に太陽の光を通すと、光が屈折し、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫に帯状に分かれて出てくる現象を観察した。この帯のことをスペクトルと呼ぶ。この観察から一見白く見える光には、実は様々な色(様々な長さの波長)が含まれていることが分かる。物理的にはニュートンの観察した色の帯は赤から紫にいくにしたがって波長が小さくなっていくことが確かめられている。例えば波長が640〜780ナノメートルの光は赤に見え、380〜430ナノメートルの波長は青みがかった紫に見える。








■光源色と色温度
 光源(光を発するもとになるもの)には自然の光である太陽光や、人工の光である蛍光灯の光などがあるが、それぞれ含まれる波長の分布が違うため、赤みがかった色や青みがかった色に見える。この光源そのものの色のことを光源色と呼ぶ。また光源の色の性質をあらわす単位として色温度という単位が用いられる。色温度はケルビン(K)という単位であらわされ、色温度が低いほど赤みを帯びた光になり、高いほど青っぽい光になる。例えばロウソクの光は1980Kほどで、黄色く見えるが、白色蛍光灯等の光は4200Kほどなので青白く見える。同じ太陽光でも昼の光と朝方の光では同じ物体を見ても、違った色に見えるのは朝と昼とでは色温度が違うからである。光源の色温度はそれによって照らされる物体の色に大きな影響を与える。


■透過と反射
 色には光が物体を通過することで見える色と、光が物体に当たり反射された結果見える色の二つの種類がある。

・透過による色の見え方
 ステンドグラスのような物体に光を当てると、ある領域の波長の光は通過し、その他の波長の光は物体に吸収される。例えば赤いガラスに光を通すと、赤の波長を通してその他の波長を吸収するために、光は赤く見える。このように透明な物体を通した光のことを透過光、その結果見える色のことを透過色と呼ぶ。




・反射による色の見え方
 不透明な物体に光を当てると、ある領域の波長の光を反射し、その他の波長の光は物体に吸収される。このように物体に当たって反射した光のことを反射光と呼ぶ。また、反射した結果見える色は一般に物体色と呼ばれるが、物体そのものに色がそなわっている訳ではなく、あくまで光のどの部分の波長を反射するかが、その物体の色を決定する。全ての光を反射する物体は白く見え、逆に全ての光を吸収し、反射しない物体は黒く見える。







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